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2022年1月21日

インスタはマーケティングとブランディングのツール - 畠田石油店 -

※ こちらの記事は、株式会社月刊ガソリンスタンド社よりご提供いただいた記事となります。



畠田石油店の畠田章二社長は、自分の代でSSを閉鎖しようと考えていた。そこに長男の昇明さんが入社して一転、存続に向けて動き出した。昇明さんたちはコーティング中国大会で3連覇。インスタで発信し、洗車収益を倍増させた。



インスタはマーケティングとブランディングのツール

時代の流れに乗り、他社との差別化を目指す


「最後に洗車したのはいつですか?」

「あなたの印象それでいいの?」

―畠田石油店のインスタには、フォロワーをドキッとさせるタイトルが多い。


昨今、インスタを筆頭にSNSに力を入れる事業者が増えている。その表現は多様だが、比較的、日々の出来事を発信する店が多いように思う。そのなかにあって、畠田石油店のインスタには明確な意図が見える。アイコンは畠田昇明さん(30)。今回の主人公である。


今年3月、洗車機を替えるタイミングで

インスタを「真面目に、外に向けてのPRをしよう」とインスタを始めた。

何を発信するか―彼は自腹でコンサルのセミナーを受講し、インスタを「他社との差別化。マーケティングとブランディングのツールとして使う」ことを決めた。


手書きチラシを配布しても、戻りはたった1%だ。

だが、インスタでは、(60㎞離れた)東広島市や山口県からも「インスタを見た」と立ち寄ってくれるフォロワーがいる。


10月上旬、同店のフォロワーは1245人で「基本お客さん」。広島市と隣接する廿日市市在住が大半を占めるという。


一方、フォロー中はそれより多い2309人。このなかには「見込み客」もいる。

見込み客とは「商圏に住む30〜40代の女性」。これまでの経験から、最も反応が良いのが、この年代という。「該当する人を探してフォローし、ネット上でビラ配りをする」のが狙いだ。

 

そう、明確な意図とは「集客」

「認知してもらって1回来てもらう。油外収益を上げることが一番大切」なのだ。

 

もちろん、1回来てもらえば、この店の良さを知ってもらえる自信がある。


フォロワーから届いたメッセージを紹介しよう

「いつも投稿見させて頂いてます。大阪在住なので、いつも畠田石油店さんが近くなら…と思っています。近所で洗車のお店を探したのですが、なかなかいいと思えるところがなくて。なのでコロナが収まったら、畠田石油店さんに洗車して頂くために広島に行こうと思ってます!! その時は愛車のマークXをよろしくお願いします。(原文ママ/絵文字省略)



コーティング中国大会 3連覇達成の実力


畠田石油店は広島市の西部、佐伯区の住宅街にある。前面の県道41号線は一方通行の2車線だが、車の流れは途切れない道だ。

同店の道路際には、道行く車から見えるように、大きなインスタのQRコードと「洗車予約でき〼!」の看板がある。


そして、壁面には

「2020年第15回接客サービスコンテスト中国・九州大会優勝 中宗洋祐」
「2021年度技術コンテスト全国大会3位入賞
 コーティング中国大会3連覇達成!」

の横断幕がかかっている。


3連覇とは、19年に昇明さん、20年に従弟の畠田翔太さん、そして今年は社員の中宗さんが獲得した。

このコンテストは高級洗車コーティング「アラウザンス」のお勧めと技術を競うもので、昇明さんと翔太さんは全国大会でも準優勝、3位と輝かしい成績を収めている。


このアラウザンス、同店が本格導入して、まだ2年半に過ぎない。

それは「コーティングしているから水洗いして」というお客が多くいたことに起因する。「なぜ、うちはコーティングをやっていないんだ」と。


いざ始めようと思っても、機材もない、場所もない、もちろんノウハウもスキルもない…そんなところから「やり方はYouTubeを見て学び」、一気に全国大会に行くほどの技術を身に付けた。その大きな実績を、当初はチラシやYouTubeで広め、現在はインスタでの配信が主流になった。


その結果、洗車収益は順調に伸び、機械洗車を含め、導入初年度から倍増する売り上げを上げている。

「認知してもらうことが大事」と昇明さんは繰り返した。





お婆ちゃんの店を守りたい


畠田石油店は1966年(昭和41年)に創業した。本家は130年間にわたり、米穀や生活雑貨を商ってきた畠田商店で「五日市の畠田は結構名が知れていた」と畠田章二社長。


周辺は御多分に漏れず、大手のセルフSSが席巻し、地場の業者は減少、フルサービスもなくなった。その中で気張るのが「いいお客に恵まれた」同SSだ。積極的な声掛けをしなくても、オイルやタイヤを「替えてくれ」と足を運んでくれた。ガス部門が本業を支えた時代もあった。


だが、その常連客も高齢化。3〜4割を占めていた掛売客も減りつつある。大学卒業後に入社した昇明さんは「ガスも減るなかで、どうやって利益を得ているのか不思議だった」と話す。


実は「私の代で終わろうと思っていた」と章二社長は明かす。8年前に共同経営していた実兄が急逝し、1SSを閉鎖。従業員も年配者ばかりだった。


そこに、昇明さんから「継ぐ」という話があった。「父から継いでほしいと言われたことはなかった」と昇明さん。


「伯父の病気も気がかりだった。お婆ちゃん子だったこともあり、お婆ちゃん家(=店)がなくなるのは嫌だと思った。守りたいと思った」ことが、入社を決意した理由だ。


章二社長は「嬉しい反面、厳しい状況のなかで、道をつくらなくてはいけないと思った」と振り返る。息子には「覚悟して来いよ」と告げた。彼の入社で、畠田石油店を取り巻く環境は一変した。



見えないものに投資し自分のレベルを上げる


後継者が出来たことで、SSは一気に「存続」へ向かった。章二社長はまず施設に手を入れた。和式トイレを洋式にし、雨漏りしていたセールスルームを改修、電灯はすべてLEDに取り換えた。


昇明さんの入社後、翔太さん、中宗さんと若いメンバーが入り、店に活気が蘇った。アラウザンスの本格導入やコンテストでの活躍、章二社長も時折顔を出すSNS…


息子たちの活躍に「良かったと思う。新規客も入ってくるようになった。今は息子に尻を叩かれるような感じ」と、目を細めた。


「以前は車を奇麗にすることに一生懸命だったが、最近は奇麗になった車を見たお客さんから『ありがとう』と言われるのが何より嬉しい」と昇明さん。


インスタ等で気になる店があれば、家族とドライブがてら偵察に行く。普通の客として接客を受け、洗車してもらい、参考になる点は店にフィードバックする。


また、取材時はインスタのコンサル以外に、人事に関するオンラインの有料講演会に申し込んでいた。「今後、どんな事業をやるにせよ、最後は人だと思う。2000円の講演料なら効率がいい」と、非常に研究熱心だ。


「今は何の役職もなく、守られている状態。この時期に〝見えないものに投資〟する。何にでも対応できるよう、自分のレベルを上げておきたい」


さて、章二社長がつくった道の1つに、一昨年購入した隣地の土地90坪がある。SSと合わせると、かなりの広さになる。「将来、好きなように使ってほしい」と話す。


その選択をする時のために、昇明さんは力を蓄える。彼は小学生の頃からSSを手伝っていた。

窓拭きや洗車の拭き上げをして、お小遣いをもらい「働いてお金をもらう」こと、そして「継続は力なり」ということを学んだ。


SSは厳しい世界と知りながら、自らの意志で飛び込んだ家業を全うしたいと考えている。


「インスタは極めたい。運用したもん勝ち。時代の流れに乗っていかないと、置いていかれてしまう。武器は自分。自分を売り込む」




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≫≫≫ プロフィール

畠田昇明 はただのりあき

1990年、広島県廿日市市生まれ。

大学卒業後、畠田石油店に入社。

2019年三愛石油接客サービスコンテスト全国準優勝。

資格は高圧ガス販売主任者、液化石油ガス設備士ほか。

家族は妻と2男



≫≫≫沿 革

畠田石油店

1966年、SSを開店(エッソマーク)。

2019年から高級洗車コーティング「アラウザンス」を本格稼働。

畠田章二社長



月刊ガソリン・スタンド 2021年 11月号

P.164 「KEY PLAYER キープレイヤー 今月の人 畠田 昇明 畠田石油店・五日市セントラルSS(三愛石油グループENEOSマーク=広島市佐伯区)」より


【 掲載ガソリンスタンド 】

ENEOS 五日市セントラルSS / (有)畠田石油店

(広島県広島市佐伯区)


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