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2016年2月26日

【コラム】ガソリン価格が下がった理由と今後の価格上昇の可能性(後編)

前回のコラムに続いて、今回はガソリン価格は今後上昇するのかということについての考察をしてみたいと思います。

前編では、現在ガソリン価格が下がった要因について簡単にまとめていますので、こちらも合わせてご覧ください。


【コラム】ガソリン価格が下がった理由と今後の価格上昇の可能性(前編)

原油価格の動向

前編でご説明したように、ガソリン価格に直接影響する原油価格ですが、今後まず考えられるシナリオとしては、原油価格が引き続き1バレル30ドル付近の価格帯を続け、採算の合わなくなった米シェール企業が市場から撤退し、OPECが以前のようにシェアを奪い、ある程度原油価格をコントロールできる状況になるというものです。

そうなった場合、OPECがある程度シェアを獲得した時点で減産に舵をきり、原油価格は一気に上昇する可能性があります。


ただし、シェールオイルの採掘技術自体が陳腐化してしまうわけではないため、また以前のように原油価格が高騰した場合、新たにシェール企業が参入できる環境となるため、これまでのような1バレル100ドル以上の価格高騰の可能性は低いのではないかと考えます。


もう一つのシナリオとしては、米シェール企業の技術革新が進み、米シェール企業の採算ラインが大幅に下がることも考えられます。

そうなった場合、長期化を恐れ早い時期にOPECが減産に踏み切り、一定の利益を確保できるラインまで原油価格を調整するのではと考えられます。


どちらの場合でも、米シェール企業の採算ラインが今後の原油価格の一つの目安になっていくのではないかと思います。


しかし、上記の予測は現在の状況がこのまま続いた場合の一つの可能性であるため、原油価格の下落をきっかけとした世界的な恐慌や事件、産油国の状況、世界的に大きな取り決め等が行われた場合には、一気に原油価格が変動することもあるため、今後も産油国の動向に注目が集まります。



ガソリンにかかる税金

次にガソリン価格の構成要素として、大きな影響があるガソリンにかかる税金にも触れてみたいと思います。


2012年10月1日より「地球温暖化対策税」が導入されています。

この税金は ガソリン 1リットル当たり0.76円 が適用されますが、段階的に実施されています。

すでに、2014年4月1日までに0.5円は適用済みで、今年4月に残りの0.26円がさらに追加されます。


また、消費税についても現在のところ2017年4月に8%から10%への引き上げが予定されています。

ですので、現在わかっている範囲だけでも、現在の価格帯で1リットル当たり3円程度の値上げが予想されます。


原油価格やその他の要因に関わらず、ベースの価格として3円程度値上げされるのは、決して無視できない金額ですね。


暫定税率の撤廃や、二重課税の問題の解消などでガソリン価格が安くなる可能性はありますが、現状では、その可能性は低いと言わざるを得ません。



ガソリンスタンドを取り巻く環境

原油価格やガソリンにかかる税金の他に、ガソリン価格が決定されるための要素として、ガソリンスタンド自体の状況があります。


低燃費車の普及や少子化、若者の自動車保有率の減少により、今後ガソリンの需要は減っていくことが予想されます。

地下貯蔵タンクの猶予期限切れ問題も重なり、ガソリンスタンドの店舗数は毎年急激に減少しています。


地域内の店舗が少ない状況下では店舗間の価格競争は起きにくくなり、価格の下げ圧力は弱まります。つまり、ガソリンスタンドの店舗数の推移が、今後のガソリン価格にも大きな影響を与えることが考えられます。


ガソリンスタンドでは、ガソリン自体の需要が減っていく中、現在生き残りをかけて、セルフスタンドへの移行や、給油の他に洗車や車検などの油外商品と呼ばれるものの販売を積極的に展開しています。


gogo.gsで行ったガソリンスタンド利用者アンケートでは、ガソリンスタンドで洗車を行う方の割合は比較的多く、半分以上の方がガソリンスタンドで洗車を行っていました。

しかし、車検などの車のメンテナンスについては、多少割高でもディーラーや整備工場にお願いするという声が多くありました。


今後、こういった車のメンテナンスのシェアをガソリンスタンド全体でどの程度確保できるかによって、状況が大きく変わっていくことが想定されます。



また、この他にもガソリン価格に影響を与える要素として、ガソリンと他の商品との組み合わせでのサービス提供が考えられます。


【コラム】電力自由化でガソリン代も節約できる?でも紹介しましたが、石油会社も燃料を自前で調達できるという強みを生かし、電力自由化に参入しています。


その中でも、昭和シェルは電気の契約をすることで、1Lあたり10円引き、クレジットカードの割引とも併用可能というかなり破格な値引き額を設定しています。


また、既存店舗にとっては驚異となっているコストコのガソリンスタンドでは、年会費4,000円のコストコの会員になってもらうことで、ガソリンを安く提供することができています。


今後は、ガソリン単体や油外商品だけではなく、こういったまったく別の分野の商品と結びつけることで、ガソリン価格が安く提供される可能性も出てきています。


当コラムでは、供給サイドにとっても消費者にとってもメリットがある、こういった取り組みについても積極的にご紹介していければと思います。