ガソリンスタンド関連のニュースやサービスからのお知らせ、ガソリン価格集計レポートを配信しています
2016年3月18日
ガソリンスタンドに行くと、「レギュラー」と「ハイオク」、そして「軽油」の3つが販売されていることはみなさんご存知ですよね。
それぞれ元は同じ石油から作られる燃料ですが、店頭で販売されている価格には違いがあります。
現時点でのそれぞれの全国平均価格で比べてみても、
レギュラーとハイオクが10円から11円の差、
レギュラーと軽油が16円から17円程度の差があります。
では、まず「レギュラー」と「ハイオク」の価格差はどこにあるのでしょうか?
二つを比較すると「ハイオク」の価格の方が「レギュラー」の価格よりも10円程度高い金額でした。
「ハイオク」という言葉は「ハイオクタン」の略語です。
「オクタン」とは「オクタン価」を意味し、これはガソリンの「燃えにくさ」を数値として示しているものになります。
そして、この数値が高ければ高いほど「燃えにくい」ことを意味しています。
エンジンはその内部で燃料を圧縮・点火し爆発させ、その爆発力を回転力に変えることで動力とします。
ガソリンは非常に発火しやすい燃料であるので、シリンダー内に吹き込まれたのち、ある程度圧縮された段階で自己発火してしまうことがあるのです。このことを「異常燃焼(ノッキング)」と呼びますが、この異常燃焼が継続した場合最終的にはエンジンを損傷させてしまうことにつながります。
損傷に至らないまでも不快な異音を発生させてしまう場合があります。
この異常燃焼につながる自己発火を抑制するために、燃料生成の過程において様々な添加剤が加えられるのですが、より多くの添加剤を加えられたことによって耐自己発火性が高められているものが「ハイオク」と呼ばれています。
この違いが、「レギュラー」と「ハイオク」の価格差ということになります。
「レギュラー」と「軽油」の価格差についてはどうでしょうか。
車を持っていない方の中には、普通車はレギュラー、高級車はハイオク、軽自動車は軽油と勘違いされていたり、レギュラーよりも性能が低い燃料が軽油だと思っている方もいるようですが、「レギュラー」と「ハイオク」は、ガソリンエンジン用の燃料、「軽油」はディーゼルエンジン用の燃料となり、「レギュラー」と「ハイオク」の違いとは異なり全くの違う種類の燃料になります。
ガソリンと軽油の違いは、抽出する際の蒸留する温度にあります。
この抽出方法の違いから、それぞれの燃料の沸点に差が出てきます。
一般的に、軽油の沸点が高温で、ガソリンの沸点が低温です。
そのため、ガソリンは常温でよく燃え、軽油は高温、高圧力をかけての燃焼が可能になります。
軽油は、高温・高圧で爆発させることにより高出力が出せ、エネルギー効率も良くなり低燃費に繋がります。
そのため、重くて燃費が悪そうな大型車には、ディーゼルエンジンが採用されている場合が多いです。
燃費が良くて、税金も安いのであれば普通車でも軽油の方が良いのでは?と思うかもしれませんが、やはりそうはならない理由があります。
軽油は、高温・高圧力をかけての燃焼が可能な反面、逆に言うとエネルギーを取り出すために高温・高圧にする必要があるため、車の振動や騒音が大きくなってしまい、特に小さな軽い車では乗り心地に影響が出てきてしまいます。
また、低温に弱いことや、ディーゼルエンジン自体の価格が割高なこともあり一般的な普通車にはガソリンエンジンが多く採用されています。
一見、この抽出方法の違いが「レギュラー」と「軽油」の価格差なのかと思われた方もいるかもしれませんが、実はもっと大きな要因があります。
それが、それぞれの燃料にかかる税金の違いです。
ガソリン、軽油の税金は、どちらも固定の税金と消費税がかかります。
固定の税金に関してはレギュラーとハイオクは同じ金額ですが、軽油だけは違う金額なのです。
石油税 | 2.54円 |
ガソリン税(本則税率) | 28.7円 |
ガソリン税(暫定税率) | 25.1円 |
合計 | 56.34円 |
石油税 | 2.54円 |
軽油引取税(本則税率) | 15円 |
軽油引取税(暫定税率) | 17.1円 |
合計 | 34.64円 |
その差は 21.7円 になります。
「レギュラー」と「ハイオク」と違い、この税金の差が「レギュラー」と「軽油」の価格差の大きな要因になります。
軽油は店頭価格が一番安いので、燃料自体が安いイメージになりがちですが、税金を除くとレギュラーよりも高いことがわかりますね。
ここで、乗り心地が悪くなってもいいから安く済ませるために軽油をいれよう!というのは車の故障の原因なので、絶対にやめてくださいね。
ガソリンエンジンに軽油を入れた場合も、またその逆の場合でも車の故障の原因になります。
では、「レギュラー」と「ハイオク」の場合は、どうでしょう。
一般的には、より高性能なエンジンにはハイオク指定がなされていて、レギュラーを給油した場合には想定されている性能が発揮されない恐れがあります。
逆に、レギュラー指定のされたエンジンを搭載した車にハイオクを給油しても問題はありません。
むしろエンジンの吸気系をきれいに保つ効果もあり、メーカーによってはお勧めしている場合もあるようです。
しかし、性能自体が上がるわけではないので、割高なハイオクを利用するのであればハイオク指定のエンジンの車を選びたいですね。