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2016年9月30日
9月28日、OPECがアルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、原油生産量を制限することで合意したとの報道がありました。
非公式会合ではありますが、事実上の減産合意となるとのことです。
正式合意は11月のOPEC定例総会まで持ち越されますが、この決定の影響で原油価格は5%以上上昇しました。
この決定は、今後のガソリン価格に大きな影響を与えるものとなるのですが、では今後ガソリン価格はどうなっていくのか、また、そもそもOPECとはなんなのかというところから簡単に説明していきます。
まず、OPECとは石油輸出国機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries)の略称で、石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年に設立された組織になります。
要するに、石油の価格を高値で安定させておきたいグループですね。
設立当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5カ国でしたが、現在は、14カ国が加盟しています。
これまでは、OPEC加盟国、特にサウジアラビアのシェアは世界的に高く、OPECが石油(原油)の生産量を調整することで、ある程度原油価格の調整ができていました。
しかし、2014年から原油価格が急激に下がり始めましたが、OPECは石油の生産量の調整を行いませんでした。
その結果、1バレル100ドルを超えていた原油価格は一時30ドルを割り込むところまで急落しました。
では、なぜOPECは生産調整をしてこなかったのかというと、その理由はアメリカのシェールオイルです。
シェールオイルについてや、価格下落の詳しい理由については、過去のコラムで解説させていただいていますが、
簡単にいうと、技術革新により増産が進んだアメリカでのシェールオイルが、OPECからシェアを奪っていきました。
この際、OPECは減産して原油価格を調整することよりも市場シェアを維持することを優先しました。
シェールオイルは、OPECの石油生産コストに比べ高いので、事実上OPECが価格下落を容認することで、シェールオイルを市場から撤退させる狙いがあったと考えられています。
では、なぜ今OPECが生産量の減産合意をしたのかということなのですが、こちらも過去のコラムにて解説させていただいておりますが、
考えられる理由としては、1つはOPECの当初の思惑通りシェールオイル企業をある程度撤退させることに成功して、OPECが原油価格をコントロールできるまでに市場シェアを獲得できたので生産量の調整を行う。もう一つが原油価格の低迷が長期化してきたため、OPEC加盟国の財政が圧迫され、これ以上耐えられなくなってきたため生産量の調整を行う。
もし前者の理由だった場合は、今後一気に原油価格が上昇しガソリン価格についても高騰することが考えられます。しかし、今回の合意は市場関係者も予測できていなかったことから実際の理由はわかりませんが、シェールオイルの採掘技術も向上しており採算ラインも下がっているとの報道もあったことや、イランに対してのみサウジアラビアが大幅に譲歩し増産を認めたとのことから、後者の可能性が高いと思われます。その場合、原油価格、ならびにガソリン価格の上昇は限定的なものになる可能性が高いです。
ただし、OPEC非加盟国である、アメリカやロシアの動向によってはまた原油価格が一気に上昇する可能性は十分にあります。
特にロシアとは、今回の会合はロシア側の意向により出席しませんでしたが、増産凍結の協議は続いています。
最近は120円前後の価格で横ばいに推移していたガソリン価格ですが、この決定により今後はある程度の上昇が予想されます。
また各国の動向や、減産の詳細によってはさらに上昇の可能性もあるため、11月に行われるOPECの定例総会やOPEC非加盟国の動向が注目されます。