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2016年12月23日
現在、国内のガソリン価格が上昇を続けています。この背景にはOPECの原油減産合意が少なからず影響を及ぼしていますが、それが実際どの程度なのかを確認していきたいと思います。
原油価格
本文内の原油価格については、日本の市場で取引されているのはドバイ原油ですが、世界的な指標となっているWTI原油の価格を使用しています。
ガソリン価格
本文内のガソリン価格については、ガソリン価格比較サイト gogo.gs に投稿された価格の全国平均を使用しています。
アメリカのシェール革命、OPEC加盟国の原油増産、世界的な需要の縮小もあり2014年には1バレル100ドルを超えていた原油価格は、2016年1月に1バレル30ドルを下回りました。
その後は徐々に原油価格も上昇し、2016年6月21日には、14週連続の値上がりとなりました。
それ以降原油価格は40ドルから50ドルの間を上下し、国内のガソリン価格もほぼ横ばいに推移していました。
日付 | 原油価格 | ガソリン価格 |
2016年1月18日 | 約 29ドル | 111.9円(前週比 1.7円の値下がり) |
2016年2月29日 | 約 33ドル | 106.7円(前週比 0.9円の値下がり) |
2016年6月21日 | 約 50ドル | 120.4円(前週比 0.3円の値上がり) |
2016年9月26日 | 約 45ドル | 119.4円(前週比 0.9円の値下がり) |
2016年9月28日
OPEC(石油輸出国機構)は、アルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、加盟14カ国の原油生産量を日量3250万~3300万バレルに制限することで合意。
サウジアラビアと、経済制裁前の原油産出水準に戻したいイラクとが対立し、原油減産の合意は難しいと考えられていたため、市場の予想を裏切った形となり、原油価格は一気に上昇しました。
まだ、この時点では国内のガソリン価格にはほぼ影響がなく値上げと値下がりを繰り返す横ばいの状態が続きます。
日付 | 原油価格 | ガソリン価格 |
2016年10月3日 | 約 49ドル | 118.8円(前週比 1.7円の値下がり) |
2016年10月10日 | 約 51ドル | 118.1円(前週比 0.7円の値下がり) |
10月の中旬以降は、上昇を続けていた原油価格は50ドル近辺で落ち着く形となりましたが、遅れてガソリン価格が上昇を始めます。
日付 | 原油価格 | ガソリン価格 |
2016年10月17日 | 約 50ドル | 120.3円(前週比 2.2円の値上がり) |
2016年10月24日 | 約 50ドル | 122.6円(前週比 2.3円の値上がり) |
その後、実際にOPECの減産合意は難しいとの予測もあり原油価格は45ドル近辺まで下降します。
国内のガソリン価格も10月の後半に上昇しましたがその後はまた横ばいの状態が続きます。
日付 | 原油価格 | ガソリン価格 |
2016年10月30日 | 約 48ドル | 123.1円(前週比 0.5円の値上がり) |
2016年11月7日 | 約 45ドル | 123.2円(前週比 0.1円の値上がり) |
2016年11月14日 | 約 43ドル | 122.9円(前週比 0.3円の値下がり) |
2016年11月30日
11月30日のウィーンで開かれていたOPEC総会で8年ぶりの減産で合意。
原油価格も一気に50ドル台まで上昇しました。
その後も少しづつ上昇が続いており、現在1バレル52ドルから53ドル付近まで上昇しています。
後を追うように、ガソリン価格も12月に入り価格の上昇が続いています。
日付 | 原油価格 | ガソリン価格 |
2016年12月5日 | 約 51ドル | 122.0円(前週比 0.3円の値上がり) |
2016年12月12日 | 約 52ドル | 123.6円(前週比 1.6円の値上がり) |
2016年12月19日 | 約 52ドル | 125.7円(前週比 2.1円の値上がり) |
今年の2月に106.7円だったガソリン価格は、現在も上昇を続けており、ニュースでOPECの原油減産合意が注目されていることもあり、OPECの原油減産合意の影響が大きく感じられます。
しかし実際には、9月のOPECの原油減産の基本合意時のガソリン価格が120円前後だったことを考えると、OPECの原油減産合意による影響はまだ5円程度であることがわかります。
さらに原油に関しても、合意の当日や翌日に一気に上昇が見られますが、その後下落するなど、全体ではそこまで上昇していないことがわかります。
このことから、OPECは以前のような強力な原油価格の調整能力を持っていないことを意味しているのではないでしょうか。
まだ原油価格は緩やかに上昇しており、今後実際に減産が行われた際にどのような動きとなるのかはわかりませんが、今回の原油減産の影響だけで以前のような150円を超すような価格高騰にはならない可能性が高いです。