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2021年5月28日

〝自主自律〟の精神で確かな存在価値を発揮 - 小林石油 -

※ こちらの記事は、株式会社月刊ガソリンスタンド社よりご提供いただいた記事となります。



32年前に創業した小林石油・瀬戸西山SS〈総合エネルギー系コスモマーク〉愛知県瀬戸市

地元SSの新たな〝勝ち残り〟を模索する上で、非常に示唆に富んでいるのが小林石油・瀬戸西山SSだ。1SSディーラーながら独自の経営理念を明確に掲げ、自分たちの存在価値を一歩一歩着実に磨き上げてきた。


洗車に賭ける半端ない熱量


規模の小さい地元SSが脱ガソリン時代を迎えるにあたり、一つの成功事例として共有しておきたいのが、小林石油・瀬戸西山SSの取り組みだ。


早くから収益の多角化に動き、洗車の高品質店としての地歩を確立してきた同社。


それも「SS洗車の中級ランクでは全国でもトップクラス」(小林啓介専務取締役)を自負するほど。実際、彼らの洗車を求めて瀬戸市外(主に名古屋)から30分以上もかけて訪れるお客が少なくない。

 

少し同SSの洗車について触れると、彼らの売りはフルサービスによる機械洗車である。


近隣SSのほとんどがセルフのドライブスルー方式のなか、地元ユーザーの中には手洗いまでは高額でなくても(=機械洗車でもいいから)、しっかり拭き上げまでして欲しいと願う人が少なくない。小林専務はそこに目をつけた。まさに一般客ではなく裕福層に近い客層だが、同SSの洗車はそんなニッチな需要に寄り添うためにしっかりと設計されているのだ。


例えば、ざっと述べるだけでも、以下の通り。


  • ①洗車機の足元のレールを伸長させ、効率的かつスピーディな予備洗いを実現。
  • ②各種タオルを作業シーンごとに使い分け。
  • ③洗剤に対するエアー量を調整し、作業性や仕上がりに適した泡の性状を設定。
  • ④洗車機自体の小まめなメンテナンスを実施。
  • ⑤内部清掃の際は針金を用いてワックス噴出口の固形物まで丁寧に除去。



洗車メニューは同業他社より高価格帯を堅持しているのは写真の通りだが、これは同時にお客様もそれだけの価値を感じているということ。同SSの洗車品質に賭ける熱量は半端なく、それがまた口コミに広がるほど大きな魅力になっていることは言うまでもない。


2代目としてのジレンマと葛藤


さて、今では押しも押されもせぬ洗車の優良店として人気を博す同SSだが、実はこの境地に至るまでには数々の葛藤や内なるジレンマがあった。小林専務は22年前に2代目として家業を継いでいる。当初は言われるがまま元売や特約店の施策に則り、店頭販売に勤しんでいた。が、いつしか作業に追われる毎日に疑問を呈するようになったと話す。


「来店されるお客様の喜ぶ笑顔を頼りに、ひたすら頑張って参りましたが、ふと、人生を振り返った時にそれが一体何になるのかという、根源的な疑問にぶち当たりました。ただお客様に依頼されるまま目の前の作業をこなすことが仕事ではない。どうせなら何か人様に誇れるものを残したい。それこそが本当の意味での〝仕事〟ではないか…。そう強く思うようになったのです」(小林専務)


〝経営者〟としての気づきを得たキッカケは、10年以上前の地元事業者が集う勉強会だったという。その場で知り合った方々には創業した人も多く、雑談の中で「ところで何のために経営しているの?」と聞かれることがよくあったそうだ。


しかし…、


「お恥ずかしい話、何も答えられないんですよね。2代目だからそんな語れるような想いや精神などない。ただメーカーや特約店の指示に従って毎日の仕事に汗水を垂らしていただけ。理念を聞かれるたびに失望感でいっぱいになったし、所詮自分は甘ちゃんだなということを痛感しました」(同)と素直に振り返る。



小林啓介専務は自分たちの存在する意義と価値を見直してきた

1人の経営者として、自分が引退するまでに絶対に成し遂げたいものとは何か…。小林専務の中にある一つの理念が湧いてきた。


それは『人の真心と温かみのあるサービスを通じ、地域を豊かにします』という想いである。


以来、これを最終的なゴールに掲げ、自分なりの色や個性、さらにはアイデンティティの確立に全力を注いできた。SS業界を冷静に分析できるようになったのも、そんな経営者としての自覚が芽生えてからだ。


思えば、当時はすべてが市況頼み。価格の決定権すらない商売に言い知れぬ虚しさを強く感じていた。それだけではない。現在で言えば〝脱ガソリン〟の問題や、過去には特石法廃止に伴う次世代戦略が盛んに叫ばれたが、そんな先のことより、もっと自分達の足元を担う〝自主自律の精神〟を確立することの方が大切ではないか…。そう強く思うようになった。


自分たちの到達すべき目標が見えた以上、メーカーや特約店に対して一方的に親子関係を迫るのではあまりに無責任。むしろビジネスパートナーとして利害の共通項を見つけ、手を結ぶところは手を結び、利用させてもらうところはうまく利用させてもらうなど、いいシナジー効果を生み出す必要があるとも考えるようになったと話す。


すべての作業を予約制に変更


同社の理念で謳われている〝地域の豊かさ〟には、自分たちの暮らしも含まれている。小林専務はスタッフの皆んなが、安心して楽しく生活できるように働く環境を整えてきた。


昨年、長らく続けてきた年中無休を廃止し、日曜定休を設けたのもその一つだ。単に年間休日を増やすだけではない。それはもはや経営者が朝から晩まで365日歯を食いしばって働くことに対する訣別でもあった。


そうしたなか世間ではコロナ禍が蔓延し、緊急事態宣言が発動される。小林専務はこれを好機に、満を持してある戦術に打って出た。それはズバリ、洗車やオイル、TBA交換などの作業の受注をすべて、予約制に切り替えたことだ。


そのメリットは計り知れず、①お客様を待たせない、②担当スタッフが焦らずに済む、③前準備ができ作業がスムース、④一日の段取りが組める…などなど。もちろん、予約制が浸透するまでは、しばらく時間がかかった。


とくに、当日来られたお客様にはお断りを申し上げなければならず、感情的な軋轢も生まれそうになったという。だが、そこは「ソーシャルディスタンスの必要性を訴え、お客様のためであることを伝えるとみな納得してくれました。コロナを言い訳にしたわけではありませんが、それくらい強い意識を持って、予約制に切り替えることに拘りました」(小林専務)と振り返る。


予約制に移行したことで、作業上のメリットが生まれたことは先述した通りである。だが、自分たちの中にも大きな決意が芽生えたと小林専務は話す。


「せっかくご来店されたお客様に面と向かってお断りを入れるのですから、正直、心苦しい思いでいっぱいでした。しかし、もし本当に当社で作業をしたいと思ってくださっているなら、後日、予約をしてまで足を運んでくださるはずです。そこは心を鬼にして、例外を一切認めませんでした。そしてむしろ、お客様にそこまで思ってもらえるような商品・サービスづくりに心血を注ぐべきだと強く思うようになったのです」(小林専務)




これまで、突然やってくるユーザーへの対応に振り回され、〝本当の顧客〟を見逃してこなかったのかと、自問自答を繰り返したという。自分たちを慕ってくれるお客様と真摯に向き合い、そしてそんな優良客との信頼関係をしっかり築いていくことこそ、地元SS事業者の務めであると改めて感じたと話している。


ちなみに予約システムに関してはカーフロンティが提供しているタイミーを導入。


timy | 有限会社小林石油 瀬戸西山SS

その効力の凄さをまじまじと実感したのは昨冬のタイヤ脱着だったそうだ。従来、「行き当たりばったりの対応だった」(小林専務)タイヤ交換のすべてを予約に切り替えたところ、作業効率の向上はもちろん、その他のTBA作業も平準化されるようになり、結果として全体の売り上げも拡大したそうだ。


離職率の低い職場環境


さて、これまで同SSの内なるジレンマと地道な取り組みについて述べてきたが、実は一番核心的な部分は次の事柄かもしれない。それは何を隠そう〝離職率が低い〟という事実である。


現在、社員は役員以外にはいなく、アルバイト7人体制でシフトを回しているが、スタッフ全員の勤続年数が長いのが特徴だ。


実際、高校1年生の時からずっと働いているという大学4年生の男性に話を聞くと、「ここのアルバイトは昔から就職とか何か特別なことがない限り、辞めないです」と教えてくれた。その理由も明快で「一切の販売ノルマや数字の押し付けがないところ」だといい、「他のスタンドで働いている友達に話すと驚かれる」そうだ。


だからといって、自由奔放にフィールドで遊ばせているわけではない。同SSでは、アルバイトがいちいちお客様に声をかけたり、バタバタと走り回らなくても売り上げが上がるような仕組みが出来上がっているのだ。


具体的には、先の予約システムはもちろん、可視化できる顧客管理リストから独自の洗車マニュアルまで、誰でも即戦力化できるように工夫が凝らされている。



コロナ禍を機に温めてきた作業の予約制を導入。業務の効率化に成功した

これによりスタッフは気軽に仕事に打ち込め、自分なりのアイデアや思いやりも浮かぶようにった。また、勤続年数が長ければ長いほど、スタッフの知識や経験が増えるだけでなく、お客様からの信頼度も高まっていく…。こうした目に見えない関係性が地元商売においては重要であると小林専務は強調する。


「せっかく応募してきてくれたのに、次の日からあれやれ、これやれでは、誰もが辟易してしまいます。数字に対する計画の責任は経営者にあるのであって、スタッフに押し付けるものではありません。そういう意味でも、商品力を高め、誰でも売れる仕組みを整えておくことが、不可欠であると言えます」(小林専務)と語る。


圧倒的な差別化を目指す


今後の展開についても、小林専務はブレないでいる。


「やはりメーカーは数量を捌きたいのであり、販売業者である我々がその手となり足となって動いているだけでは、思考を止めているのと同じことです。まずは自分たちが存続可能な利益レベルを見極めて、それに向けて企業努力をするなり、多角化を模索するべきだと思います」


同社の場合、洗車やレンタカーを主軸に、その他の事業を外注先と提携しながら、最適解を組み立てているところだという。


とくに洗車では、今期中に新型洗車機を導入する予定だ。さらに地域初となる超純水の外付け機能を追加し、圧倒的な差別化に結びつけたいと考えている。


また、現在4台稼働しているレンタカー(うち2台は新車を導入)は今年に入り70%以上の稼働率を誇る人気ぶり。車検のタイミングで販売に結びつくことも少なくなく、今後もレンタカーと車検と車販の好循環を維持していきたいと話す。


1SSディーラーながら〝自主自律〟の精神で確かな存在価値を発揮している小林石油・瀬戸西山SS。自分たちの得意分野が何で、どこに生きがいを感じ、どういう会社にしたいのか…。目指すゴールが明確だからこそ、それに近づくための努力も工夫も際立っていると言えそうだ。


月刊ガソリン・スタンド 2021年 4月号

P.93 「〝自主自律〟の精神で確かな存在価値を発揮」より


【 掲載ガソリンスタンド 】

コスモ石油 瀬戸西山SS / (有)小林石油 (愛知県瀬戸市)


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