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2023年7月19日

大学新卒者の採用に成功している 1SSディーラーの経営視点と行動力

※ こちらの記事は、株式会社月刊ガソリンスタンド社よりご提供いただいた記事となります。

大学新卒者の採用に成功している 1SSディーラーの経営視点と行動力




目見田商事(PB系=兵庫県宝塚市 / 目見田純也 社長)


第9回ホワイト企業大賞表彰式(天外伺朗企画委員長)で、SS業界で初めて特別賞を受賞した目見田商事。それも『幸せ循環経営賞』というネーミングを授けられるなど、改めて社員の「幸せ」を通して「地域貢献」を果たす社会的意義と実効性が、内外に広く認められた格好だ。



お客様と就活生に選ばれる『幸せ循環経営』


生活道路沿いに佇む小規模な1SSディーラーながら、3年連続で5名の新卒者採用に成功した目見田商事。車離れの著しいZ世代に対し、持ち前の経営センス(経営デザイン力)で新たなガソリンスタンド像を切り開いているとして、地元・宝塚市役所のホームページでも紹介されている。


実際、彼らの経営力は今年1月、業界では初となるホワイト企業大賞の特別賞(幸せ循環経営賞)を受賞したことで、注目を集めた。ちなみに同表彰制度は、元ソニー上席常務を務めた天外伺朗氏を発起人に、「日本の社会にホワイト企業を増やそう!」と、専門家有志に呼びかけ、2014年秋口に発足したもの。


〝ホワイト〟という抽象度の高い概念だけに、その選考方法は独特で、残業の発生状況や有給休暇の取得率といった定量的な判断はもちろん、経営者の志や従業員の意識の持ちようといった定性的なものまで、評価の対象となっている。


目見田商事でも、実際に審査員が会社に訪れ、社長や社員と面談が行われたほか、パート・アルバイトまで含めて全社員にアンケート調査を実施。さらに目見田社長にはA4サイズ4枚分の作文(テーマ = あなたの会社が大切にしている価値とは?)の提出が求められたという。


ちなみに、全社員アンケートの質問項目(10点満点で記載)だが、①私の職場はスキルや能力を伸ばす機会や風土がある。②私の職場は部門間の風通しがよく、困った時には協力してもらえる。③私は会社に愛情がある…といった、〝私〟を主語にした質問項目が計20個ほど。さらに同じ質問内容を、今度は〝私〟→〝周りの人は〟という主語に切り替え、回答を求められる。


まさに、会社の掲げている理念が経営者の一方的な願望だけでなく、実際に働いている人たちの想いと行動できちんと育まれているか否か、細かくチェックされるのだ。



会社の規模は小さくとも社員の意識は高い


目見田商事には、世間一般で言うところの〝企業理念〟(= 事務所の壁に掲げられているような標語)がない。その代わり、会社の存在意義や大切にしている価値観が明確で、全従業員の拠り所にもなっている。


「私たちの会社の事業目的は『人づくり』です。その具体的な業務内容として『クルマを通じて地域の人たちに信頼を届ける』という活動を行っております。とくにカーケア業務というのは一人では完結できず、必ず仲間との連携が必要となります。そのため、常に仲間を思いやり、周りへの感謝の気持ちを忘れず、時に強い意志で決断して最後までやり抜かなければならない。このように人間的な性質に磨きをかけながら、お客様のお困り事に全力で寄り添い、信用の尺度としての利益を頂いているのです」(目見田社長)と強調する。




では、彼らの事業目的である『人づくり』の先にあるものとが何かと言えば、その答えは、働く喜び(= お客様からの感謝)を通して知った本当の幸せの境地であり、さらにはプライベートの拡充や家族への還元、そして自分の夢の実現である。「幸せ循環経営」とはまさに、働くことで地域に広がる感謝と笑顔の影響力そのものなのだ。


今でこそ〝ホワイト企業〟として注目を浴びる目見田商事だが、実は彼らも昔はモーレツタイプで知られる販売店だった。とかくガソリンの安売りで集客を行い、ヒット率重視の声かけでカーケア実績を荒稼ぎしていた。


しかし目見田社長は、いくら数字の実績が上がっても「社員が幸せにならない会社は意味がない」と痛感し、これまでの考え方を180度転換。そのキッカケは、売れ売れ体質に現場スタッフが耐えきれなくなり「人がどんどん辞めていったこと」だという。「社長としてこれ以上、虚しいものはなかった」と振り返る。


「思えばお客様の質も違っていました。以前は〝安いからお前のところ利用してやるわ〟といった、上から目線のお客さんが多かった。ことあるごとに相見積もりや値引きを求められ、特別なおまけも要求される…。こんな商売で台数を稼いでも、担当している社員スタッフは全然楽しくないんですね。だから、自分たちが本当に提供したい価値は何だろうと、改めてゼロベースで考え直したんです」


以来、上辺の実績ではなく、〝幸せ〟や〝働きがい〟といった社員のマインドの充実に重点を置くことを決めた目見田社長。そして、事業の目指すゴールも、〝うちのスタッフが好きだから、うちで買いたい〟と、お客様に言ってもらえるような関係性にあると思うようになった。


「値段が安いからではなく、人柄が良いから選ばれるという間柄こそ、従業員にとって唯一無二の財産になり得ると思うのです。そのためにも、仕事を通して人間的な成長を果たし、またそういう価値観の合う人とだけ一緒に働きたいと考えております」(目見田社長)




『幸せの循環経営』と評されるずっと前から、自分たちで働くことの意義を必死で考え抜いてきた同社。従業員が肌身で理解し、そして学生たちが感じているメッセージも、そんな彼らが歩んできた生き様に他ならない。



大きな夢を語るのは 経営者の大切な仕事


目見田商事の社員の方々は皆、目見田社長の言葉を信じ、会社を誇りに思い、そして未来ある就活生もそれに惹きつけられるようにして集まってきている。ではなぜ、彼らは自分の会社に人生を託すのかといえば、それはズバリ、『自分たちはどこへ向かおうとしているのか、そして今の仕事内容がどんな役に立つのか』について、共有できていることだと思う。


例えば、目見田社長は毎年、自ら50ページに及ぶ「経営指針書」を作成している。そこでは自分たちの将来ビジョンや進捗具合だけでなく、きちんとそれが果たされた場合の社内組織図(数年先分)まで発表しているのだ。


もちろん、名前の欄は空欄で、〝そのポジションを目指したければ自分の手で掴み取れ〟というメッセージが含まれている。だが、従業員にしてみれば、今からどんな部署ができ、どういうポストが新設されるのか…、自分たちの未来像を想像することができるのは大きい。


それだけではない。目見田社長はビジョンの実現に向けて心血を注ぐだけでなく、自らの夢も社員に向けて語っている。


「今年度中にも出店予定のスズキ販売店では、新車の軽キャンピングカーを中心に取り扱っていく予定です。そしてこれ(= キャンピングライフ)を契機に、地元・宝塚市の里山地区を舞台にして、地域の様々な生活事業者と協力しながらイベントを開催していきます。そこでは里山の魅力、自然、食、宝塚の歴史・文化などをテーに掲げ、子どもからご年配の方々までが笑顔で集い、つながり、人生を愉しんでもらえるような時空間を作り上げたい」(目見田社長)




カーライフを起点に、これまで日本人が大切にしてきた考え方や価値観を深めていける体験を提供することができれば、地元事業者として果てしないエネルギーを創出できると熱く語る。


「大きな夢を語ることは、経営者の大切な仕事だと思うんです。従業員は皆、自分の人生の大切な時間を費やして働いてくれています。それなのに目の前の利益に一喜一憂し、ノルマを押し付けるようでは、従業員とその家族の方々に失礼です。私たち目見田商事は、自分たちだけの満足を追求するのではなく、仕事を通じて、関わる人たちすべての輝く未来を創造していく所存です」(目見田社長)と話している。



月刊ガソリン・スタンド 2023年 4月号

P.118 「◎大学新卒者の採用に成功している 1SSディーラーの経営視点と行動力 」より


【 掲載ガソリンスタンド 】

宝塚ひまわりSS / (有)目見田商事

(兵庫県宝塚市)


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