これまで「運命」というものを、感じる余裕すらなかった。
22歳の時、突然 脳腫瘍で倒れる。
5日後、朦朧とした視界に映ったのは、全身に繋がれた無数の管と装置。
せめて足が動くなら、屋上から飛び降りたいと思った。
奇跡的に回復したものの、後遺症は残る。
今も右耳は聞こえづらい。顔も麻痺している。
失ったものは多かった。
でもこれを「運命」というなら、未来の筋書きを変えるしかない。
この会社には色々な過去を持つ人間がいる。
みんな素の自分をさらけ出し、互いの弱点を補完し合っている。
神様は人のために生きる機会をくれた。
私には守るべき可愛い子供たちもいる。
すべての巡り合わせに感謝したい。今は運命の鼓動がはっきり聞こえる。